
今から約130億年前の初期宇宙で活発に星を形成していた数十個の小さな銀河を、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測データから特定したとする研究成果を、アメリカの研究者らのチームが発表しました。
“宇宙の再電離”を主導した可能性がある小さな銀河を多数発見

この研究では、ちょうこくしつ座の方向約40億光年先の「パンドラ銀河団(Abell 2744)」をジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡でマッピングした観測プログラム「UNCOVER」のデータを分析。
重力レンズ効果(※1)で拡大された、約130億年前の小さなスターバースト銀河(爆発的に星を生み出す星形成銀河)を83個発見した研究チームは、そのうち20個をさらに詳しく調べました。
これらの銀河は、星々の質量が天の川銀河の2000分の1~20万分の1と小規模ながらも、宇宙の再電離(※2)と呼ばれる出来事を説明するのに必要な量の紫外線(電離光子)を放出していた可能性があるということです。
※1…地球と遠方の天体の間にある別の天体の質量によって時空間がゆがみ、遠方の天体を発した光の進む向きが地球に届くまでの間に変化することで、遠方の天体の像がゆがんだり拡大して見えたりする現象のこと。
※2…ビッグバン直後に電離していた水素やヘリウムの原子核が電子と結合した後、宇宙初期の星から放射された紫外線によって中性水素が再び電離するようになった出来事。ビッグバンの2億~4億年後から10億年後頃までに完了したと考えられています。

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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